聴いて歌ってマレーシア♪

(1) マレーの楽器

(2) 中国の楽器

マレーシアの伝統(でんとう)音楽には,ここに住(す)む各(かく)民族(みんぞく)のルーツが根(ね)強(づよ)く残(のこ)っています。またマラッカにおりたったポルトガル人の影響(えいきょう)も残っています。クロンチョンという様式では古くから伝(つた)わる地元の打楽器(だがっき)にポルトガルからもちこまれたヴァイオリンとアコーディオンを使って,マレーの民謡(みんよう)を伴奏(ばんそう)します。
 このように,様(さま)々(ざま)な国や地域(ちいき)の音楽が聴(き)くことができるのも,マレーシアの特徴(とくちょう)です。ここでは,マレー,中国,インドの音楽で使われる代(だい)表(ひょう)的(てき)な楽器(がっき)の紹介(しょうかい)をしましょう。
 
インドの音楽は大きく2つに分けられています。北と南の音楽は,楽器も様式(ようしき)もずいぶんと違(ちが)います。私たちになじみのある楽器は北インドの楽器ですね。
伝(でん)統(とう)的(てき)な影絵(かげえ)「ワヤン・クリッ」に使われる楽器です。
@南インドの楽器
 Veena(ヴィーナ)
 ハープから発達(はったつ)したインド特有(とくゆう)の楽器です。時代とともに様(さま)々(ざま)な形に変化(へんか)して現在(げんざい)のような形になりました。日本や中国の琵琶(びわ)の兄弟ともいえ,「びわ」という名前のルーツとしても考えられています。ヴィーナは2つの共鳴器を持ち,ジャックフルーツの木をくりぬいてつくられます。
笛(ふえ)(Di/ティ)
これは,竹のフルートです。伝統的には,3つのキーしかありませんが,正確(せいかく)なイントネーションで演奏されます。
唄口(うたくち)と音孔(おんこう)の間にもう一つ穴(あな)があり(膜(まく)孔),そこに竹の皮膜(ひまく)でできている薄(うす)い膜(笛(ふえ)膜)を張(は)り,共鳴(きょうめい)させます。そうすることによって,中国的な独特(どくとく)な音色が出ます。
Serunai(スルナイ)
 スルナイは,ワヤン・クリッのアンサンブルの中で,唯(ゆい)一(いつ)の管楽器です。スルナイは,マレーシアの様々な伝統音楽の中で使われています。チャルメラのたぐいで,4層(そう)のリード楽器です。それぞれのシーンに合わせてメロディーを奏します。

Canang(チャナン)
 チャナン(写真(しゃしん)下方の楽器)は,鉄(てつ)
または銅を合わせてつくられた,直径15pから20pの小さなコブつきのゴングです。木箱(きばこ)に水平に置き,ひもを巻いたぼうでコブのところを叩きます。サイズの異(こと)なる2つのゴング,チャナン・イブ(母ーチャナン)とチャナン・アナッ(子ーチャナン)から成り立っ(なりたっ)ています。
Gedomgak(ゲドンバッ)
 ゲドンバッは,花瓶(かびん)型(がた)をした片面(かためん)太鼓(だいこ)です。太鼓(たいこ)の面(めん)にはヤギの革(かわ)が張(は)られています。膝(ひざ)の上に水平(すいへい)に置(お)き,片手(かたて)の手のひらで叩(たた)いて音を出します。もう片(かた)方(ほう)の手は,太鼓の後ろの穴(あな)を閉じたり(とじたり)開(ひら)いたりすることで,太鼓の音色を変(か)える役(やく)割(わり)をします。
Tetwak(トゥタワッ)
トゥタワッは,青銅(せいどう)または銅からつくられたゴングの一(いっ)種(しゅ)です。
 直径(ちょっけい)40pから60pと比較的(ひかくてき)大きく,中央(ちゅうおう)にコブがついているゴングです。大小2つのゴングを一組で使います。木(き)枠(わく)からつり下げ,布(ぬの)を巻(ま)いたばちでコブのところをたたきます。少し余韻(よいん)のある低音(ていおん)が響き(ひびき)ます。

(3)インドの楽器

Tabla(タブラ)
 大きく低(ひく)い音が出る方を「ダッガ」とよび,小さく高い音を出す方を「タブラ」といいます。ダッガは通常(つうじょう)左手で,タブラは右手で演奏します。ダッガやタブラはうなるような低い音,深(ふか)く鋭(するど)い音,音程(おんてい)を連続(れんぞく)的に変化させるなど,変化に富(と)んだ音を出すことができます。
 様々な叩(たた)き方は,和(わ)太鼓(だいこ)の口唱歌(しょうが)と同じような,「ボルズ」とよばれる練習方法で口承(こうしょう)で伝えられています。演奏できるようになるために膨大(ぼうだい)な時間がかかり,大変難(むずか)しい楽器です。
A北インドの楽器
 Sitar(シタール)
 この楽器は,インド音楽にとって,最(もっと)も重要(じゅうよう)な楽器です。北東インドの13世紀(せいき)の吟遊(ぎんゆう)詩人(しじん)アミール・クルサンによって演奏され,その後18世紀半ばには広く知られる楽器になりました。楽器は,木製(もくせい)の柄(え)の上部(じょうぶ)にひょうたんの下部(かぶ)分がつけられています。これはヴィーナ同様(どうよう),共鳴器(きょうめいき)です。
Mirudangam(ムリダンガン)
 演奏者はあぐらをかき,太ももの上に楽器を水平(すいへい)にのせて構(かま)えます。調律(ちょうりつ)のために,米粒(こめつぶ)と鉄粉(てっぷん)を混(ま)ぜて練(ね)ったペースト状(じょう)のものを右膜面(めん)の中央(ちゅうおう)にはりつけます。
Kesi(ケスィ)
 ケスィは,鉄または銅からつくられた直径10pの小型(こがた)のシンバルです。2組(4枚(まい))のシンバルから成り立っています。ひもでつながれた一組は両手に持(も)ち,もう一組は木の台の上に裏(うら)返(がえ)して取り付けられています。両手に持(も)ったケスィをもう1組に叩(たた)きつけると,とてもけたたましく鳴(な)り響(ひび)きます。ケスィはチャナンとともにメトロノームの役割を果(は)たします。
琵琶(びわ)(Pipa/ピパー)
 琵琶は,漢(かん)民族の代表的な楽器です。中国の琵琶は4世紀ごろ中央アジアから西域に入りましたが,イランがその源流(げんりゅう)といわれています。古代(こだい)には,4弦に4柱でした。日本に伝わり,正倉院(しょうそういん)にあるものもこの系統(けいとう)のものが残っています。宮内庁(くないちょう)の雅楽(ががく)で用いられている楽琵琶も同様(どうよう)の梨(なし)の形をしています。また,ヨーロッパも伝わると琵琶はペルシャのウードになり,さらにギターに発展(はってん)していきました。
 中国オーケストラではこの楽器の奏者がリーダーをつとめます。ギターの演奏とは少し違(ちが)うようなので,ぜひ,演奏の仕方(しかた)に注目してみましょう。

阮(Ruan/ルアン)
 4つの弦をもっています。月のように丸いので月琴(げっきん)としてよく知られています。いろいろな音が出るので,オーケストラと一緒のときは伴奏を担当(たんとう)します。
二胡(こ)(Erhu/アーフ)
 唐(とう)時代(じだい)に西域(せいいき)から伝わった楽器で,堅(かた)い木の胴(どう)に蛇(へび)の皮(かわ)が張(は)ってあり,二本の弦(げん)の間を馬の尻尾(しっぽ)の毛を張った竹製(たけせい)の弓でこすって演奏します。もともと,民間(みんかん)のみで流(りゅう)行(こう)して,宮廷(きゅうてい)や貴族(きぞく)の屋敷(やしき)で用いられることはありませんでした。ずっと戯曲(ぎきょく)の伴奏などでしたが,20世紀(せいき)になって独特(どくとく)の音色が注目(ちゅうもく)され,多くの作曲家や演奏家によって単独(たんどく)演奏のできる楽器に改良(かいりょう)され,演奏技術(ぎじゅつ)も向上(こうじょう)して地位(ちい)も上がり,今では中国の代表的(てき)な楽器とされています。